いつだって、読書日和

 暑い高知も、朝晩はやっと涼しくなり過ごしやすくなってきました。

 秋は何をするのにも良い季節で、「読書の秋」とも言いますが、実はかつて、この時期、本はあまり売れなかったそうです。そういうこともあって、毎年、秋の文化の日を挟んだ2週間が「読書週間」とされています。

 10月27日から11月9日までが読書週間ですが、「もしも、一年に一度だけの読書週間しか、読書しなかったら、恐ろしいほど無知・無教養の人間になってしまうのではないか」と思う人もいらっしゃるでしょう。

 今の時代、日本のような先進国で、みんなが読書するように思えるところで、「読書週間」というのは違和感があるかもしれません。

 

 ところが、毎年行われている『読書世論調査』(毎日新聞社)の第68回調査によるとこんな結果が出ています。

 

 1ヵ月に平均的にどのくらい本を読むかという問いに対し、普通の単行本でも文庫・新書本でも読まないとか無回答の人がともに57%います。さらに、1ヵ月平均では0冊と答えている人が、単行本で8%、文庫・新書本で6%となっています。

 

 6割くらいの人はそんなには本を読んでいるわけではないということです。

 

 もっとも、ちゃんとした本だったら忙しければ、1ヵ月では読めない本もありますし、ちゃんとした本は読むが、文庫・新書本のような軽い本は読まないという人もいることを考えると、本当のところはなかなかよくわかりません。

 

 ただ、1ヵ月に1冊でも読めば、1年で12冊。20年で240冊になります。本棚1段は普通90センチで、ここに40冊くらい入るとすると、20年で6段組みの本棚1本ぶんということになります。これくらい読んでいれば、結構、いろいろ知っている人の部類になるでしょう。逆に言うと、日本人の約4割は結構な教養人ということになります。世界的にも高い数値と言っていいでしょう。こういう知識や学問を大切にする背景があるから、ノーベル賞受賞者もたくさん出すことができるのだと思います。

 

 ということで、読書週間だけ本を読むというよりも、「読書習慣」にすることが大事だということになります。それで、今回の読書週間の標語は、「いつだって、読書日和」。

 

(図書館専門企画員 山重壮一)