全国の公立図書館の概況

 日本全国の公立図書館の概況について、日本図書館協会からの情報に基づいて紹介します。

 まず、設置状況ですが、全国の市区町村1742自治体中1311自治体が設置しており、設置率は75%です。

 一般の市(政令指定都市と特別区を除く)で設置されていないのは770市中10市、町で設置されていないのは746町中283町、村で設置されていないのは183村中138村で、とくに町村で未設置の自治体が目立ちます。

 2014年の分館も含めた全国の公立図書館の数は3226館です。

 日本全国の図書館の登録者数総計は5526万3千人まで増えています。総人口の過半数までは到達していませんが、2000年段階では3696万4千人だったので、全国的には大幅に伸びています。しかしながら、全国の資料費の総額は、2000年度に比べると2014年度は約20%も減っています。ニーズが増えているのに供給が減ってしまっている状況です。

 なお、日本全国の司書・司書補のうち、専任の正規職員は5371人に過ぎず、6193.5人が非常勤、2918人が臨時職員、指定管理者も含む委託・派遣スタッフが5595.4人であり、大半が収入の少ない不安定な身分であることもわかっています。なお、日本の公共図書館では専門職制度が確立せず、大半が司書でない職員・スタッフによる図書館も少なからず存在します。

 これは、日本の場合、自治体の正規職員数について、国が定員管理という形で関与しているため、思うように正規職員数を配置できないことも大きな理由のひとつです。

 

 なお、高知県は、県立、市町村立含め、県内全体の公立図書館の資料費総予算は3億円にも達しませんが、東京都は、都立図書館が約3億1700万円、23区立図書館総額が29億3600万円、多摩地域の市町村立図書館総額が約13億8100万円で、人口一人当たりに換算しても、大きな格差があることがわかります。

 

 このように、概して、東京都や滋賀県のように特別に図書館振興策を実施した県を除けば(東京都・滋賀県は図書館振興のため、建設費・資料費の一部を県が補助した)、地方の図書館は一部の図書館を除けば、あまりふるいません。これが、いわゆる先進国中では図書館のレベルが最低となっている大きな要因です。とくに魅力ある地域づくりをする上でも、町村部における図書館振興がこれからの大きな課題です。

 

(図書館専門企画員 山重壮一)