本で旅する 北欧の旅

 高知県立図書館おとなりの高知県立文学館で、「北欧文学との出会い展」が2015年4月19日まで開かれています。

 



 県立図書館でも、北欧文学の本を展示・貸出ししています。下の写真は、1階子ども読書室前の写真です。写真に写っているのは「ムーミン」ではなくて「スノーク家のお嬢さん」(日本の最初のアニメでは「ノンノン」と言っていましたが、原作にはありません)です。アンクレット(足輪)が目印です。

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 昨年2014年はムーミンの作者トーベ・ヤンソンさんの生誕100年でした。そのこともあって、最近、また、ムーミンが注目を浴びています。

 ムーミンは「ムーミン・トロール」と呼ばれる「妖精」あるいは「妖怪」です。普通のトロールは冬に出てきて、どちらかというと悪いイメージなのですが、「ムーミン・トロール」は、夏向きトロールで、冬は冬眠してしまいます。

 冬が厳しいフィンランドの白夜の夏を恋焦がれる思いいっぱいの作品です。

 ちなみに、ニョロニョロという奇妙なキャラクターも出てきますが、これも原作では「ハッティフナット」です。日本人だと舌をかみそうなのでアレンジされた名前です。

 もうひとつ、豆知識。ムーミンは当然、フィンランド文学に分類されるだろうと思われるかもしれませんが、スウェーデン文学に分類されています。なぜかというと、図書館の文学の分類は、もともと書かれた言語で分類するからです。ムーミンのお話はスウェーデン語で書かれました。フィンランドはずっとスウェーデン領だった時期があり、スウェーデン語ができる人も多いし、影響も大きいのです。ただし、民族系統は、まったく別だと言われています。

 

 北欧は人口が極めて少ないにも関わらず、先端的な産業もあり、エンジニアの割合も高い国々です。コンピュータのオペレーティング・システムのLinuxはフィンランドの人が考えたものです。VOLVO,SAABといった高度な安全性を持った車をつくったり、IKEAのような林業が盛んな土地柄を生かした北欧デザインも世界中で大人気です。建築家などでも、アルヴァ・アアルトのような有名人がいます。

 公共図書館も量・質とも世界トップクラスで、フィンランドに至っては、国民1人あたりの年間貸出点数が30点くらいになるそうです。CDなども含まれているのでしょうが、すごい数です。学力も世界一です。

 福祉の先進性はすでにご存じのとおりで、生活水準の最も高い国々となっています。このような国々も、かつてはジャガイモくらいしかできないやせた土地のため大変貧しかったのですが、国民教育運動を展開し、公共図書館を充実したりして教育水準の大幅な向上を図る一方、永世中立国となり平和を維持し(ただし、軍隊は保有しています)国力を上げていったところです。

 

 1階小展示室でも関連書の展示・貸出しを行っていますので、ごらんください。貸出し手続きはカウンターでお願いします。

(山重壮一)

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